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家づくり研究室

【家づくりのお金】後悔しない家づくり。お金をかけるべきはココ!

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

家づくりにかけられる予算には限りがあり、希望する設備や内装すべてにお金をかけることは難しいですよね。だからこそ、どこにお金をかけるのか、抑えるのかを見極めることはとても大切です。家づくりで、「ここにお金をかけてよかった」と思えるのはどこでしょうか?今回は、後悔しないために知っておきたい“コストのかけどころ”を詳しくご紹介します。

[目次]

1.家づくりのコストを左右する6要素

2.家づくりでお金をかけるべきポイント

3.家づくりはイニシャルコストとランニングコストの両面で考えよう



家づくりのコストを左右する6要素

家づくりのコストは主に6つの要素から成ります。お金をかける箇所、抑える箇所を判断するためにきちんと理解しておきましょう。



面積

家づくりのコストに最も影響するのが、家の面積です。当然ながら、小さい家よりも大きい家のほうがコストは高くなります。
では、みなさんはどのように家の大きさを決めていますか?「今より広い家に住みたい」「実家が40坪あったから」といった、なんとなくの感覚で考えていないでしょうか。



最近は廊下のない家を好む人が増えていますが、それは余計な面積が減ってコストを抑えられるうえに、動線も効率的になるというメリットがあるからです。
広さにこだわりすぎるとコストが予想以上に膨らみ、予算オーバーに苦しむ可能性があるため、自分がどんなふうに暮らしたいのかを具体的に考え、必要な広さを見極めることが大切です。



断熱・気密性能

断熱性能と気密性能は、住み心地に直結する重要な要素です。例えば、窓は価格の高いものも低いものも、見た目に大きな違いがないため「安いほうでいいか」と判断してしまいがちです。しかし、性能面では大きな差があります。



また、気密性について十分に説明をしないハウスメーカーもありますが、家の気密性能は冬や夏の室温・体感温度に大きく影響します。断熱性・気密性を高めると初期コストは上がりますが、その分住み心地は格段に向上し、光熱費の削減にもつながります。



間取り

コストを抑えられる間取りは、1階と2階のシルエットがそろっている「総二階」と呼ばれる家です。その理由は、総二階は構造がシンプルで、基礎と屋根が最小限で済むから。同じ面積の総二階でも、とくに正方形のものは、基礎と屋根が最小限で済むだけでなく土地の面積も小さく住むため、さらにコストを抑えられます。また、凹凸がないため構造的にも安定します。総二階は、まさに合理性を追求した家と言えるでしょう。





ただし、総二階でも間崩れしている家はコストが上がります。例えば、2階の間仕切りの下に1階の間仕切りがある構成の家は、荷重が分散され構造的に安定します。しかし、それは間取りに制約が生まれるということでもあります。「広々としたリビング」「玄関脇には十分な広さの土間収納」「2階の部屋数は少なく」といった自由な間取りを希望する場合、単にその箇所の材料費や施工費がかさむだけでなく、構造のバランスをとるために、梁や柱などの補強費用も必要になり、想像以上にコストが膨らみます。



デザイン

最近、キューブ型や軒(のき)のないスッキリとしたデザインの家が増えています。これらの家は、軒がある家に比べて外壁内に雨水が浸入するリスクが高いため、雨漏り除けの水切りや通気のための金物にお金をかけないと、家として一定の性能を保てません。万が一、壁の中に湿気がたまる状態が続けばカビが発生し、家の寿命や人の健康を脅かすことになりかねません。このようなデザインの家が安く売られていたら、雨漏りや通気に関して十分な対策がとられているか、よく確認しましょう。



床材

床材には、無垢フローリングとカラーフロアの2種類があります。無垢フローリングは木から切り出した1枚板のもので、カラーフロアは合板の表面に1~3mmの化粧材(薄く削った木材や化粧シート)を貼ったものです。無垢フローリングは自然素材のため曲がりや割れなどの狂いが生じますが、カラーフロアはそれが少なく、お手入れも簡単なのが特徴です。



耐久性については、10~20年では両者に大きな差はみられませんが、20年以上経過すると、カラーフロアは表面の化粧材や塗装がボロボロになります。とくに南側の窓のそばの床は、紫外線の影響を受けて劣化が進行しやすいです。一方、無垢フローリングは狂いが生じることに加えて価格もカラーフロアより高いですが、手入れをすれば50年以上は持ち、経年とともに風合いも増します。
両者の特徴を比較して、ライフスタイルや予算に合う床材を選びましょう。



施工会社のビジネスモデル

建築コストの構造は、施工会社によって大きく異なります。家の販売価格は、材料費や職人に支払う手間賃など、工事に必要な基本的なコストだけで構成されているわけではありません。全国に支店を持ち、大規模な工場を抱える大手ハウスメーカーの場合は、広告費や研究開発費・支店経費・営業マンの歩合などの「販売経費」も販売価格に含まれています。



工業住宅(プレハブ住宅)を扱うような大手ハウスメーカーのほうが「大量生産=安い」と思われがちですが、実際には多くの販売経費がかかるため、販売価格が高くなる傾向にあります。



一方、小規模な工務店は販売経費を抑えられる反面、材料の仕入れにおいては厳しいと言わざるを得ません。年間1万棟分の仕入れをおこなう会社と、年間10棟未満の会社とでは、どうしても仕入れ価格に差は出ます。とはいえ、年間20棟程度を手掛ける規模の会社であれば、仕入れ価格に極端な差はありません。



「大手ハウスメーカーは安心できる。保険料だと思えばよい」という考えもありますが、販売価格のなかで販売経費が大きな割合を占めていることは知っておきましょう。



家づくりでお金をかけるべきポイント

家のコストについて6つの要素をご紹介しましたが、これらの中で優先してお金をかけるべきは「断熱・気密性能」です。とくに、家の断熱・気密性能を大きく左右する窓は、一定以上の性能の窓を選ばないと快適に暮らすことが難しくなるため、高性能のものを選びましょう。




また、これまで住宅業界では「ダブル断熱」「外断熱」「高性能な断熱材を使用」といった、壁の断熱を売りにしてきましたが、実は壁よりも屋根の断熱のほうが重要なのです。優先順位は①窓 ②屋根 ③壁と覚えておいてください。家の気密性能を表すC値(※)においては、断熱材の厚みやスペックが同じの場合、C値=1と2では、体感レベルで快適さがまったく違います。気密性能を高めるとコストは上がりますが、生活の質を決定づけるポイントなので迷わず投資しましょう。



※C値とは

C値(相当隙間面積)は家の気密性能を数値化したもので、C値が小さいほどすき間が少なく気密性能が高いことを示しています。C値=1.0は延床面積1m²あたりに1㎠のすき間があるという意味です。C値に国の基準はなく、一般的にC値=1.0以下が高気密の目安とされています。


家づくりはイニシャルコストとランニングコストの両面で考えよう

家づくりのコストは、建物代金であるイニシャルコストだけでなく、住み始めた後にかかるランニングコストについても考えなければなりません。性能の高い家を建てればイニシャルコストは上がりますが、光熱費などのランニングコストは下がります。家の素材についても、自然素材を使うとイニシャルコストは上がりますが、耐用年数が長かったり経年により風合いが増したりと、ランニングコストは下がります。



「イニシャルコストを抑えすぎると後々高くつくこともある」
「優先順位を決めて、かけるところとかけないところを見極める」

そんな視点を持って、家づくりのコストを決めていきましょう。