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家づくり研究室

【省エネ住宅】冬型結露から家を守る!対策の基本

こんにちは。私の名はティール教授。当研究室へようこそ。今日も私の研究課題である家づくりについて話していきましょう。

窓周辺に水たまりをつくってしまう冬の結露は、放っておくとカビを招き、見た目にも健康にも良くない厄介な存在ですよね。また、結露は拭いても拭いてもいくらでも発生するうえに、実は目に見えないところにも発生しているため、根本的な対策をとらなければ家の寿命を縮めてしまうことに。

今回は結露の仕組みや対策など、冬型結露の基本について詳しくお伝えします。ぜひ家づくりにお役立てください。

[目次]

1.結露ができる条件は「気温差と湿度」

2.表面結露と内部結露

3.家をむしばむ「壁体内結露」

4.壁体内結露を防ぐポイント

5.表面結露を防ぐポイント

6.基本的な知識が家を守る

結露ができる条件は「気温差と湿度」

「湿気を含む暖かい空気が、冷たいものに触れる」これが結露の仕組みです。空気が抱え込める水蒸気の量は温度によって異なり、空気の温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができ、空気の温度が低ければ抱え込める水蒸気の量は少なくなります。冷えたグラスが結露するのは、グラスに触れた空気が冷やされることで抱えきれなくなった水蒸気が水滴となって現れているのです。反対に「湿度が低く空気が乾いていれば結露は起きにくい」ともいえます。



表面結露と内部結露

家の中で発生する結露もグラスの結露と同じ仕組みで起こります。窓の結露のように表立ってできる結露は「表面結露」と呼ばれます。対して、陰に隠れて目視できない結露を「内部結露」といいます。表面結露は目視できるため後からでも対策を講じやすいのですが、目視が難しい内部結露はとても厄介です。結露によって窓のゴムパッキンにカビがでるように、内部結露は柱や壁など、家を内側から傷めてしまいます。知らず知らずのうちに見えないところで家の腐敗が進行する恐れがあるのです。



家をむしばむ壁体内結露

壁体内結露とは壁の内部結露のことで、主に断熱材の部分で発生します。この壁体内結露の恐ろしさがよくわかるのが、1980年頃に北海道で起きた「ナミダタケ事件」です。築年数の浅い家の壁内部や床下などにナミダタケというキノコが大量発生して家を腐らせ、床が抜け落ちる家が相次ぎ、大きな社会問題になりました。



主な原因は2つあり、①断熱材の量を増やして断熱性を高めようとしたものの、気密性が低く内部結露が発生しやすい状態だったこと、②断熱材が結露した水を吸収して、壁や床の木材を濡らしてしまう状態だったことです。当時は気密や防湿の重要性は知られておらず、この事件は家づくりの技術向上の大きなきっかけとなりました。



壁体内結露を防ぐポイント

そんな恐ろしい壁体内結露を防ぐポイントは2つあります。



気密シートで断熱材と壁材を分離する

結露が発生する仕組みは「暖かい湿気を含む空気が冷やされること」ですから、壁内部に暖かい湿気を含む空気がたまらないようにすれば、壁体内結露は予防できるということです。その役割を担うのが、断熱材と壁材を隔てる【気密シート】です。



暖かい湿気を含む空気の出どころは部屋の中です。入浴や調理など、生活していると部屋の空気はどうしても加湿されてしまいます。壁のボードは湿気を通してしまうため、それを気密シートで遮断します(気密ライン)。この気密ラインがあれば壁体内結露の多くは防ぐことが可能です。とくにグラスウールやロックウールなど繊維系の断熱材は水分を通す性質があるため、気密ラインをとることは大変重要です。



例外として、気密シートが不要とされる、現場で発泡させるタイプの断熱材もありますが、これには注意が必要です。発泡ウレタンは表面が固まると、スキンと呼ばれる塗膜のように密実(密度が高い)な膜ができます。確かにこのスキンは湿気を通しにくい性質をもちますが、断熱材の厚みを出すために多めに発泡させ、柱からはみ出た余分な部分を切除する場合があり、そうすると切断した部分はスキンがなくなってしまいます。そういった状況もあり得るため、断熱材の種類にかかわらず気密シートを貼ったほうが安心です。

※複数回吹き付けるなど、施工方法によってスキンの保持が可能な場合もあります。



透湿シートで湿気を速やかに逃がす

気密ラインをとったとしても、小さな継ぎ目から壁内部に湿気が浸入することがあります。その場合、速やかに湿気を外へ排出する必要があります。そこで活躍するのが【透湿シート】です。このシートは湿気を通す機能だけでなく、防水機能も持ち合わせているため、外壁側からの水の浸入も防ぐことができます(防水ライン)。

透湿シートから湿気を逃がすためには、パネル自体も透湿性のあるものを選ぶ必要があります。構造合板は丈夫なパネルですが、接着剤で板を何層にも重ねているため透湿性が高くありません。透湿パネルと透湿シートを併用することで、壁内部に湿気が浸入してしまっても排出できるため、壁体内結露を防ぐことができます。



表面結露を防ぐポイント

壁体内結露を防ぐポイントがわかったところで、せっかくなら表面結露も抑えたいですよね。
表面結露を予防するポイントも2つあります。



表面温度を露点温度より下げない

結露するタイミング、つまり水蒸気が水滴に変わるときの温度を露点温度と呼び、これは温度と湿度によって変わります。例えば【室温20℃、湿度50%のときの露点温度は約9℃】なので、窓表面が9℃を下回ると結露します。露点温度は湿度と温度によって変わるため【室温20℃、湿度70%のときの露点温度は約14℃】というように、室温が同じでも湿度が違えば露点温度も変化します。



冬場に窓が結露しやすいのは、外気温の影響を受けて窓表面の温度が下がりやすいからです。結露を防ぐためには窓表面の温度を下げなければよいわけですから、窓の断熱性をいかに高めるかが重要となります。



そこでおすすめしたいのが【樹脂製サッシ+樹脂製スペーサーのペアガラス】です。外気温が0℃の場合、アルミ製サッシは熱が伝わりやすい(熱伝導率が高い)ため本体も0℃になってしまいます。樹脂の熱伝導率はアルミの1000分の1ですから、樹脂製サッシのほうが大きく優れた断熱性をもっています。アルミと樹脂の複合サッシもありますが、樹脂のみでできたサッシと比べると断熱性は劣ります。



また、ペアガラスというのは2枚のガラスを使用し、ガラスとガラスの間に空気層を設けた窓です。空気層があることで熱を通しにくく、断熱性に優れています。ここで気を付けていただきたいのは、スペーサーも樹脂製のものを選ぶということです。スペーサーとはガラスとガラスの間にある部材です。前述の通り、アルミは樹脂よりも1000倍熱が伝わりやすく結露が発生する可能性が高まるためご注意ください。



部屋の湿度をコントロールする

結露は空気中に抱えきれない水蒸気が水滴となって現れたものですから、そもそも空気中の水蒸気が少なければ結露はしません。部屋の湿度をコントロールすることで表面結露は予防できます。



例をあげると、意外にも部屋の湿度があがりやすいシーンが就寝中です。こどもが幼いと家族一緒に川の字で寝るご家庭は少なくないと思いますが、人は就寝中、気づかない間に汗や呼吸で200~500mlの水分が体から排出されています。6畳程度のスペースに4~5人が集まっていると、かなり多くの水分が空気中に放出されていることになり、結露する可能性が高まります。



こうした状況でできる対策は、シンプルですが換気によって部屋の湿度を下げることです。また、寝室が北側の場合【トリプルガラス】というガラス3枚+空気層2層の断熱性の高い窓を選ぶことも有効です。トリプルガラスは高額ですが、北側の窓は小さめにつくられる場合が多いため、その分コストを抑えられます。

加えて、部屋の湿度があがりやすい代表的な状況が、鍋料理です。こちらも主な対策は換気や窓の断熱性を高めることなのですが、IHコンロを使用することも有効です。ガスは燃焼するときに水蒸気が発生するため、IHコンロなど非化石燃料の熱源をおすすめします。



食事の際に発生する水蒸気を確実に排出したい場合は、食卓の真上に排気ダクトを設置するという方法もあります。焼き肉店などはテーブルの真上に排気ダクトが設けられていますよね。最近では換気機能が備わった照明も販売されているので、ぜひ検討してみてください。



基本的な知識が家を守る

今回ご紹介した結露対策は基本的な内容ですが、家を守るために知っておくべき大変重要な情報です。

家を知らず知らずのうちに傷めてしまう内部結露は、気密性と断熱性を高めることでそのリスクを大きく下げることができます。また、気密性を高めていても壁内部への湿気の浸入は少なからずあると踏まえて、湿気を排出する仕組みをきちんと備えておきましょう。



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